茶道具のひとつである「棗」について
茶道具のひとつに数えられる「棗」について、歴史や概要、茶道における役割や手入れ・扱い方を解説していきます。
「棗」について調べている方は是非参考にしてください。
茶道具の一つ「棗」の概要
棗(なつめ)は茶道具において抹茶を入れておくために使われる道具です。
果物のナツメに形状が似ていることから、「棗」と呼ばれるようになりました。
同じように抹茶を入れておくための道具として「茶入」がありますが、棗は「薄茶」、茶入は「濃茶」を入れるために用いられます。
茶入が陶器製なのに対し、棗は木、竹、象牙製のものが一般的です。
ただし、陶器製の棗もごく僅かですが存在します。
棗は、大きさによって、小棗(約5cm)、中棗(約6.6cm)、大棗(約8cm)と分類されており、さらに形状によって「利休棗」「珠光棗」「紹鴎棗」「長棗」「平棗」などと名付けられているのです。
棗の歴史
棗は、室町時代の塗師である「羽田五郎」(生没年不明)という人が、茶人の「村田珠光」の為に初めて作ったといわれています。
また、堺の豪商であり、茶人でもある武野紹鴎(1502~1555)が好んだという、糸底に紹鴎の花押が押された黒小棗も現在に伝わっているのです。
しかし、記録に茶器として棗が初登場するのは、羽田五郎や武野紹鴎が没した後に行われた「津田宗達の茶会」(1564年)なので、棗の起源や製作者は未だに正確には分かりません。
また、村田珠光や武野紹鴎が茶人として活躍した時代は、棗は薄茶を入れるだけでなく、花を活けるためにも使われていたとも伝えられています。
棗が薄茶を入れる専用の茶器として、確固たる地位を築いたのは、千利休が活躍した時代(1550年前後~1591年)です。
千利休が好んだ棗は「利休棗」と呼ばれ、現在も棗の代表格として広く使われています。
棗と言って多くの人がイメージするのが利休棗でしょう。
その後、時代が下るにつれて棗は小型化していき、現在の大きさになりました。
茶道における棗の役割
前述したように、棗は薄茶を入れる道具です。
お茶は湿気や気温の変化に弱く、密閉できない容器に入れるとすぐに劣化してしまいます。
ですから、ぴったりと合口があう棗は茶を入れておくのに理想の容器です。
また、棗にはいろいろな種類があります。
無地黒塗りのシンプルなものから、蒔絵などを施した豪華なものも多く、使う人の美意識が問われます。
茶会において、どのような棗を用いるかによって、主人の趣向なども分かるでしょう。
ですから、季節や茶会を開く目的によって棗も使い分けられます。
また、茶会の時、棗は鑑賞の対象にもなるものです。
そのため、棗は「名物」と呼ばれる名品がたくさんあります。
茶道を習う際は、棗の鑑賞の方法を教えてくれる教室も多いでしょう。
茶道における棗の扱い方(作法)
棗は抹茶を入れる道具です。
お茶会が始まる前に、抹茶をたっぷり入れておきます。
ただし、いきなり抹茶を入れてはいけません。
抹茶は静電気を帯びやすく、棗に入れっぱなしだとダマになってしまうことがあります。
ダマになった抹茶は舌触りも悪くなり味が落ちるため、棗に入れる際はふるいにかけてほぐしておきましょう。
また、前述したように棗はお茶席では鑑賞の対象になります。
お茶を点てる前に、客人が棗を鑑賞し、塗り方などを尋ねることもあるでしょう。
主人は棗の形状や塗りの種類、由来などを説明できるようにしておくことが大切です。
客人の立場でお茶席に出席する際は、火器、掛け軸などと共に棗も鑑賞物の1つと考え、じっくりと拝見しましょう。
棗の手入れ・保管方法
棗は湿気が大敵です。
湿気を残したままにしておくと、塗りが剥げたり形がゆがんだりします。
洗剤で洗ってもいけません。
かといって抹茶を入れっぱなしにしておくと、カビが生えることもあります。
お茶席が終わったら、使わなかった分の抹茶を棗から出して別容器に移します。
ついで、羽ぼうきなどを用いて、棗の中に残った抹茶を完全に取り除き、乾いた布や懐紙でふきましょう。
その後、陰干しにした後で木箱にしまいます。
木箱は棗を衝撃から守るだけでなく、湿気を取り除く役割も担っているのです。
ですから、必ず使用後は木箱にしまいましょう。
また、棗は割れやすいので、取り扱う際は十分に注意してください。
乱暴に取り扱うとひび割れたりかけたりしてしまいます。
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